Category — なーるほど家族! -医学と進化論に家族を学ぶ-
進化と家族5:
1500万年前~現代
1500万年~600万年前にアフリカ大陸でそれぞれ100万年近く続く激しい寒冷期と地殻変動が人類の祖先に変化をもたらした。
1400万年~1000万年前にケニアから南方に伸びる大地溝帯が形成された。この断層陥没帯は南北に走る大きな隆起をつくり、これが壁となって東西に大きな気候の違いをもたらすようになった。西から流れてくる湿った風を遮り、東アフリカに乾燥した疎開林や草原を作り出した。おそらく、そこへ人類の祖先だけが進出を果たしたのである。(資料2)
(仮説)草原(サバンナ)には肉食獣が多く、人類の祖先は捕食のリスクを少なくするため歩行(抗重力)、感覚(五感)の使い方が大きく変わり、脳神経が直接歩行を制御し、かつ感覚(五感)と歩行が連動するための脳神経の変化の準備があったのではないかと考えています。
700万年前に人類の祖先は直立二足歩行を獲得。最新の発達神経学によればヒトの直立二足歩行は脳中枢神経系に直接制御されていることを明らかにしていますので、直立二足歩行を制御する脳神経系が進化し始めたと考えられます。
このとき、それまでの集団生活から共同生活へ変化したようです。
食物の分配を前提とした共同生活が始まったのかもしれない。そのきっかけは脳の拡大による知性の発達ではなく、直立二足歩行による運動域の拡大と肉食への依存という生態学的な特徴の改変にあったのである。
共同生活は、男女からなる小集団がいくつか集まって大きな群れを作り日中の採食を行い、男たちが連携して捕食者から群れを防衛する。そして、捕食者が近づきにくい断崖や岩山に寝場所をかまえ、複数の群れは一緒になって眠ったのである(資料5)。
150万年前の化石は複雑で高度な感覚運動を行っていることを示しており、脳(中枢神経系)が感覚運動統合機能を獲得したことを示している。つまり、脳機能の進化は直立2足歩行によって生じた新しい感覚運動制御のためであり、言語や知性の発達はその副産物に過ぎなかったとされています。(資料5より)
人類は、類人猿との共通祖先から受け継いだ非母系的な特徴とインセストの回避傾向を広げて、原初的な家族をつくった。インセストの回避は、異性間に性的な動機を介しない親密な関係をつくり、同性間に異性をめぐる競合の低い親密な関係をつくる。家族は夫婦間に性交渉を限定することによって、非性的な連帯を可能にしたのである。
人間の社会が他の霊長類社会と異なるには、人間は集団を移っても元の集団との関係を完全には断たないことである。娘は他の家族に嫁いでも親たちと付き合いを続ける。それは家族が独立した集団とはならずに、他の家族と集まって親族集団や地域社会という上位の集団を構成するからだ。このような重層的な社会では、父系であっても閉経を迎えた母親が娘の育児を手伝うことが可能だろう。人類の特異な生活史戦略は、家族という人類に特有な社会単位が登場してから発達したのかもしれない。
これらの説明と最新の発達神経学を加えて整理すると次のようになります。
・これらから、脳の発達は人類の祖先が直立二足歩行を始め、感覚に従う複雑な運動を行うために感覚と運動統合して制御する神経回路を獲得したことにより飛躍的に進んだ。
脳の発達の順序は、感覚運動統合系の発達が先である。その後に言語、知情意の発達がある。
・ただし、直立二足歩行を行う骨格は、産道を大きく取れないという制約を生み、人類の赤ちゃんは未完成脳にまま生まれてくることになったのです。
・母胎環境に代わって未完成脳を取り巻くのは、親、祖父母家族、親の兄弟家族、親戚家族など家族のネットワークです。これら家族が豊満環境を成し、さまざまな環境入力を行い脳の発達を促し、完成脳へとみちびくのです。
この時、生直後から必要なことは、家族といっても大人であることです。大人が環境入力しなくてはなりません。遊び相手の子どもが必要になるのは社会性、上下の力関係を知り、仲直りという抑制を脳神経に学習させるためです。
・祖父母世代の役割
祖父母家族は豊満環境の重要な構成員として、子どもの脳にさまざまな環境入力を与えることが役割だろうとされています。単に、栄養補給と清潔管理などの育児だけでなく。
まとめると次のようになります。
・赤ちゃんの睡眠・覚醒リズムの二相性(昼は覚醒、夜は睡眠)の獲得支援
・非言語コミュニケーション、社会性の獲得支援
・ロコモーション(ハイハイ、直立二足歩行)の獲得支援
・感覚・運動統合神経回路発達のためのロコモーション実施支援
○夜型になりやすい親の生活リズムを赤ちゃんの生活リズムに持ち込まないようにする。
昼行性が完成し、安定するまでは夜型(夜行性)の生活は厳禁です。発達障害の原因になります。
○睡眠・覚醒リズムの発達環境整備支援を行う。
○生直後から非言語コミュニケーション、愛撫、声掛けなど沢山行う
○社会性の獲得支援・・・さまざまな生活場面において大人として敵味方、上下関係など教える。同じことを複数の異なる大人から入力してもらう方が脳を鍛えることになります。
○ロコモーションの獲得
ハイハイ、直立二足歩行を正しい姿勢でできるように専門医を受診する支援(健康診断と同じく自費診療です。費用援助など)
○3歳ごろからの感覚・運動統合系を鍛える運動。これは前頭前野を鍛えることにつながります。
○いわゆる知識は以上の発達が一定の水準に達してから。
以上のことができれば、知情意はおのずとついてくるようです。久保田カヨ子さんは、著書「育脳家族」でほっておいても育つと述べています。
9月 10, 2011 No Comments









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